結核検査

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結核の検査 とはどういうもの? ツベルクリン反応以外にどんな検査があるの?

公開日
更新日

 
執筆:大見 貴秀(医師、ヘルスケアライター、麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本抗加齢医学学会会員)
 
 
結核の初期症状は風邪と似ています。そのため風邪が長引いているだけ、と放置してしまうことも。しかし結核は症状が進むと喀血や呼吸困難を引き起こし、最悪の場合は死に至る可能性があります。早期発見のため 結果の検査 について知っておく事は重要です。この記事では 結核の検査 について説明します。
 
 

結核の検査 とは

 
結核の検査は結核菌に感染しているかどうかを調べる方法と結核を発症しているかを調べる方法があります。結核菌に感染しているかどうかを調べる検査には以下のようなものがあります。
 
 

ツベルクリン反応検査

ツベルクリンとは結核菌の感染の診断に用いられる抗原のことです。結核菌に感染している人はこのツベルクリンに反応するため、結核菌に感染しているかどうかの指標となります。通常の注射と同じく上腕部を消毒した後にツベルクリンを含む液体を注射します。およそ48時間で最も反応が強くなるためもう一度病院へ行き判定を行います。
硬結と呼ばれる硬いしこりが現れているかで結核菌に感染しているかどうかを判定します。判定基準は以下になります。
 
BCG接種を受けておらず、結核患者との接触がない場合:硬結の大きさが15mm以上
 
BCG接種を受けておらず、結核患者との接触がある場合:硬結の大きさが5mm以上
 
BCG接種を受けていて、結核患者との接触がない場合:硬結の大きさが20mm以上
 
BCG接種を受けていて、結核患者との接触がある場合:硬結の大きさが15mm以上
 
 
これらはあくまで目安であり、過去にBCGを受けている場合は陽性の反応が出てしまう場合もあるため、近年ではツベルクリン反応検査ではなく次に述べるインターフェロンガンマ遊離試験を行います。
 
※BCGとは
BCGとは本来ならば牛に感染する型の結核菌を弱毒化し、人間にとってほぼ無毒にした菌のことを指します。無毒化した結核菌を人為的に人間に接種することで免疫を獲得させることを目的としたワクチンです。日本においては生後一年未満までに接種することが決められています。
 
 

インターフェロンガンマ遊離試験

インターフェロモンガンマ遊離試験はツベルクリン反応と異なりBCGを受けている場合でも正確に結核菌の感染を測定することができます。またツベルクリン反応検査の場合は注射を受けに行くのと、結果を測定するのに2回の通院が必要なところ、インターフェロンガンマ遊離試験は1回で済むところも特徴です。感染が疑われる人より採血を行いインターフェロンガンマの数値を測定することで結核菌への感染を判定することができます。
 
判定基準としてQFTとTスポットという2つの原理が存在します。以前は保険を適用しての検査をすることができませんでしたが、近年はツベルクリン反応検査より正確ということで保険が適用できるようになっています。
 
 

結核菌検査

上記の検査により結核菌への感染が確認されたら次は結核菌の質を調べる検査を行います。患者より痰を採取して次の方法で検査を行います。
 
・塗抹検査
痰をスライドグラスに塗り付け、結核菌を染色することで顕微鏡を用いて検出します。ただ精度に少々劣ります。
 
 
・培養検査
痰を培地に塗ることで結核菌を増殖させます。結核菌が増殖するのが遅い菌であるため判定まで8週間かかってしまうことがデメリットですが塗抹検査より10倍以上精密な検査です。
 
 

X線検査

レントゲンを用いた検査は結核の初期の診断に用いられます。定期検診でも行うため結核を早期発見するための手段として役に立ちます。ただし肺炎など似た病気も存在するためX線検査だけでは結核の発症の正確な診断をすることができません。
 
 

肺以外の結核について

 
結核は結核が80%以上を占めていますが、それ以外の部位にも発生する可能性があります。
代表的なものを解説します。
 
 

脳の結核

脳で結核菌が増殖すると「結核性髄膜炎」という疾患を引き起こします。髄膜という脳を包んでいる膜に炎症を引き起こします。初期症状としては倦怠感や発熱、食欲不振といった風邪の諸症状が現れます。しかし進行すると意識障害や痙攣、運動障害、脳浮腫などを引き起こします。死亡の可能性も高く治療できたとしても重い後遺症を残すことがあります。
 
 

リンパ節結核

結核菌が肺胞から肺門リンパ節や頸部リンパ節に移行することで発症する結核です。結核と同じく初期症状としては風邪の諸症状が現れますが、肺門で発生した場合は気管支を圧迫することにより無気肺や閉塞性肺炎の原因となる場合があります。頸部で発生した場合はこぶ状の腫瘍が発生し、皮膚を突き破り膿が流れ出すこともあります。
 
 

腎結核

結核菌が肺から血液の流れで臓に移行することで発生します。初期段階では腎臓に病変が発生します。その段階では自覚症状がないことが多いですが、徐々に尿管膀胱に病変が広がることで膀胱炎に似た症状が発生します。頻尿、排尿時の痛み、血尿、残尿感などを生じます。
 
 

脊椎カリエス

結核菌が肺から血液の流れで腰椎や胸椎、胸腰椎に運ばれることで発生します。初期症状はやはり結核と同じく風邪の諸症状が見られます。それに加え脊椎の感染部位の痛みが発生することもあります。神経が通っている脊椎に発生するため、症状が進行すると脊柱が変形し運動障害やしびれを引き起こす可能性もあります。
 
結核菌が肺以外の部位で病巣を作ることは稀ですがあり得ます。肺結核と同じく免疫力が低下した際に発生するため、健康的な生活習慣を行うことが重要です。
 
 

結核とAIDSについて

 
AIDSはHIVウイルスに感染することで発症する病気です。
「後天性免疫不全症候群」の名の通り、免疫力が下がり様々な病気にかかりやすくなってしまう病気です。
 
日本ではそもそもHIVウイルス感染者が少ないこと、結核も治療できる病気であることから中々問題視されませんが、アフリカをはじめHIVウイルス感染が問題となっている地域ではAIDSと結核の併発が大きな問題となっています。HIVウイルス陽性者は結核発症率が陰性者に比べて50倍になると言われています。
 
・HIVウイルス感染者は免疫力が低下しているため結核菌に感染しやすい
・HIVウイルス感染者は免疫力が低下しているため結核がより早く進行する
・HIVウイルス陽性者が結核菌に感染した場合、適切な治療を行わない確実に死に至る

 
HIVウイルスは冬眠状態にある結核菌を活動状態にしてしまう非常に高いリスク要因であるため、上記のような問題が発生します。
 
日本においては結核を疑ったら早めに医療機関に受診することはもちろん、HIVウイルスへの感染が疑われたら早めに検査と治療を行うことが重要です。
 
 

まとめ

 
医療技術の進化によって結核は正確に診断でき、適切な治療により治せる病気となりました。しかし結核は昭和20年代ほどまで日本においても死因のトップであったということを忘れずに、長く続くなど結核のような症状が現れたら検査を受けるようにしましょう。
 
なお結核の症状については 「結核の症状 はカゼと似ている? どんな人が結核になりやすいの?」をご覧ください。
 
国境なき医師団が作成した結核について説明した以下の動画も参考にして頂ければ幸いです

 

大見 貴秀   大見 貴秀 署名
 
<執筆者プロフィール>
大見 貴秀(おおみ・たかひで)
医師、ヘルスケアライター。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本抗加齢医学学会会員。
本業である麻酔科医としての活動の傍ら、病気・疾患の予防を啓蒙するためヘルスケアライターとして活躍。
 
 

オススメリンク

 
関連した情報として以下のようなものがありますので、ご参考にしてください。
 
肺がんの原因 を徹底追及!肺がんの治療法は原因によって違う?
 
「肺がんの初期症状 : 肺がんの分類とよくある症状について解説」
 
肺がんの末期症状 : 進行して現れる苦しい症状とは?
 
「肺炎はうつる ってホント?どうやってうつる?予防法は?」
 
「肺炎の原因 にはなにがある? 肺炎の原因から予防法まで詳しく紹介」
 
肺がん検査 の方法 肺がん検査の3つの目的と夫々の内容とは?
 
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